4th November 2020

担当:武藤 正樹(建築研究所)

Nicolus NisbetとTamar.EL-DirabyによるDigital Twin(DT)における法規の取り扱いについて討論を行った。

まず、 Tamar.EL-Dirabyが、DTの意義について、①Digital Twinは、技術的な実現性の他に、Digital Twinを実現するための、使用法、セキュリティ、倫理、公平性、プライバシーに係る問題の制御(Digital Twining)を配慮する必要がある。②また、 製品データ以外の、プロセスやルール、その他のラベリングのできるような拡張を行うといった、Digital Twiningを配慮したモデルの考え方も変わる必要がある。③DTを単に居住者への興味を引くだけでない、建築の再生ソリューション(Regenerative Solution: RS)をイノベーテイブに協業するプラットフォームとすることが今日的な背景となっている。とし、エネルギー消費を最小化する目的で行われたトロント大学でのパイロットプロジェクトを通じた検討の状況を概説した。

Tamarの基調レポートを受け、Nicolusは、Tamarが示したIFCの制約について、自身の病院での設計事例を引き合いに、RegulationやRequirementといった、ルールや知識(knowledge)は表現できるとして、DTには、IFCを活用してゆくことが基本となるだろうとした。また、AI(Machine Learning)の利用について、DTに求める目的(Objective)が変容してしまう懸念を指摘した。シンガポールの自動審査の開発の経験からは、法規の専門家とモデリングの専門家との間で、機械的な法適合確認のアプローチのギャップがあり、コンセンサスを確立するのに苦労した、との言説も見られた。